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9月14日

雨が降ると、人が恋しくなる。
もしくわ、人が欲しくなる。
窓の向こう側で絶え間なく降り続ける雨音は、とても優しくて、それを聞いている私の心を寂しくさせる。
優しさは常に寂しくて、強さは常に悲しい。
携帯電話を手に取って誰でいいから登録されている人間に電話をしたくなるが、何を話したらいいのかわからない。
こんなに恋しくなって、欲しくなっているのに、人を求める手段を知らない。
仮に、人を求める手段があっても、寂しさを埋める手段がまた見つからない。
話をしたいのか、何か聞きたいのか、無理矢理抱きたいのか、陵辱されたいのか、殺したいのか、どうしたらこの寂しさを埋めることが出来るのだろう。
二階の窓を開けて、雨粒を手で掴んでみる。
手のひらに落ちた水滴が、皺にそって流れ、そこから落ちてまた他の雨粒に混ざって降っていく。
下を見ると、黒い傘をさしたスーツ姿の男が歩いている。
会社帰りだろうか。
「ねえ」
思わず私は話かけてみる。
男は何処から呼びかけられているのかわからず、左右を何度か見回したが、私がもう一度呼びかけると、傘を少しだけ傾けて、私のいる二階を見上げる。表情は傘の影に隠れて見ることが出来ない。
「雨が降ると、寂しくなりませんか?」
男は考えるかのように、傘を横に少し傾けた。
頭のおかしな人間だと思って警戒されているのかもしれない。
それなら、それで別に構わない。
「寂しく、なりませんか?」
どうせ聞こえぬふりをしてそのまま歩き始めるだろう、と思っていた男は律儀に私の呼びかけに答えてくれた。
「だったら、てるてる坊主でも作ってみたら、いかがです?」
男の解答に、私は思わず吹き出してしまう。
なるほど。それは確かに素晴らしい考えだ。
「ありがとう」
私の言葉を返すように、男は一度傘を会釈させて、再び歩き始めた。

早速、次の日に窓の物干し竿にてるてる坊主をぶら下げてみた。
その三日後には早速雨が降ってしまったが、左右に揺れ動くそのまぬけな姿を見ると、寂しさが少しだけ薄まっていくのを感じた。

 


・最近、ろくに文章を書いていないので、リハビリ日記を書きました。うむ。まだまだ復帰は難しそうだ。

 

 

 

 

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